文一総合出版×ジュンク堂書店「ハンドブックの歴史と、その作り方 ネタバレ必死・売り込み歓迎」に行ってきました

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ジュンク堂書店池袋本店20周年企画として開催されたイベント「ハンドブックの歴史と、その作り方 ネタバレ必死・売り込み歓迎!」に行ってきました。

ゲストはバードウォッチングマガジン『BIRDER(バーダー)』ほか、生物図鑑や自然科学書を扱う出版社、文一総合出版の編集者2名。人気の「ハンドブックシリーズ」の歴史や企画の立て方、制作過程を語るトークイベントで、たぶん大学院生や研究者も含めた生き物好きのみなさんが集まっていました。

上の写真は、私が愛してやまない『BIRDER』2013年10月号。表紙のシマエナガはもちろん、ヤマガラやキクイタダキなどカラ類小鳥が超絶かわいい! ペットの写真は一緒に暮らす飼い主さんならではのショットもあるけれど、野生動物の写真はプロもしくはアマチュアでもガチで本気の人のものが、やはり見応えがあります。

「野外で使う本」特有のニーズと実用性

ハンドブックシリーズ第1冊目は『ワシタカ類 飛翔ハンドブック』。実はその前に、パンフレット状のワシ・タカガイドが販売されたのですが、野外で開くと風にあおられ使いにくいとの声が寄せられ、形を変えて発売されたそうです。下の写真は旧型のパンフレット状ガイド。

 

『水生生物ハンドブック』では、水に濡れてもいいようにウォータープルーフのインクを使ったところ、印刷した紙がなかなか乾かなくて苦労したというエピソードも。ハンドブックシリーズは基本的に「野外で使う」ための実用性が求められるので、紙の種類や本のつくりにも制約があるようです。

 

中には『身近な妖怪ハンドブック』のような、野外観察用と言うにはムリのある本もシャレで(?)紛れ込んでいます。日本酒好きの人にとってはたまらない一冊『酒米ハンドブック』は、ほかのハンドブックシリーズのように、書店の自然科学コーナーに置かれることはないため、行き場が定まらないのが悩みだとか。それでも時折「アレッ?」と思うような異色作が混じっていることで、シリーズの多様性や遊び心が保たれていると感じます。

「樹皮」でステップ、「イモムシ」でジャンプ

シリーズの転機となったヒット作は『樹皮ハンドブック』。そして、シリーズの名を知らしめた最大のヒット作が『イモムシハンドブック』です。

私がシリーズを知ったのも、イモムシがきっかけです。世間的には「気持ち悪い」と嫌われがちなイモムシを、「かわいい!」「面白い!」と思わせる表紙のすばらしさ。青虫くらいしかなじみのなかった私の目には、カラフルでユニークなイモムシの色とデザインは、ロールプレイングゲームに出てくるクリーチャーのように、斬新に映りました。

生き物好きのネットワークを広げて本をつくる

出版プロデュースをしている私としては、編集者が著者を探す方法も気になります。『ハエトリグモハンドブック』の場合、ハエトリグモが好きな仕事仲間が開設した趣味のサイトに、同じくハエトリグモ好きな著者がアクセスしたことがきっかけで、出版が成立したそうです。ちなみに本に掲載したハエトリグモの写真は、美しい模様が出るように、著者が自宅で飼育して、成体になったばかりのところを撮影したものだとか。そこまでやるんだ!

研究者や自然科学専門のライター、カメラマンの間には、自然とネットワークができるようですが、児童書で良い仕事をしているカメラマンを見つけたら連絡してみるなど、未知の相手にアプローチすることもあるそうです。下の写真は私の愛する子ども向け科学雑誌『たくさんのふしぎ』ですが、確かに児童向けの図鑑や雑誌には、植物や動物の素晴らしい写真が多数掲載されていますね。

売り込み歓迎!のチャンスをつかめ

会場では企画稟議書や製作中の本も披露され、サービス精神いっぱいのイベントでした。「売り込み歓迎!」とのことで、イベント終了後は企画を見てもらおうと、参加者が並んでいましたが、研究者やマニア、カメラマンには貴重なチャンスだったのでは?

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