【出版のヒント】プロフィールを整える

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ライターの自己紹介では、「なんでも書けます!」というのはNGとされています。「なんでも書ける」=「専門性がない」という意味にとられてしまい、どんな仕事を頼んでいいのか、クライアントが判断できなくなるからです。

あなたらしさを表す一言は?

本を出版したい人も、プロフィールにその人らしさや専門性がないと、やはり不利です。たとえば英語学習の本なら、ただ「TOEIC満点」などのスペックを羅列するだけではなく、「一度も海外に行ったことがないのにTOEIC満点」とか、「ITエンジニアとして英語のアプリを開発」とか、何かその人らしさを表す一言が欲しい。その独自性が、他の著者との差別化につながるからです。

英語を話せるようになりたい人には、それぞれ個別の理由があります。「仕事で必要だから」という明確な理由もあれば、「英語が話せるようになったら、もっとステキな自分になれる」という漠然とした理由もあります。スキルや悩みについても、「TOEICでは高得点だが、ビジネスシーンでは言いたいことが言えない」という人もいれば、「海外ドラマが大好きだから、英語でもっと楽しみたい!」という人もいます。

仕事で英語が必要な人は、英語だけではなく、ビジネスの経験も豊富な著者に信頼を寄せるでしょうし、逆に社会人経験が少ない人は、あまり立派な肩書きの著者の本だと、「私には難しそう」と気後れして、手に取らないかもしれません。同じ英語学習の本でも、著者の経歴の違いによって、読者のタイプも変わってきます。

ライバルの著者のプロフィールをチェック

プロフィールを作成するときは、履歴書のように経歴を箇条書きにするのではなく、自分ができること、自分がほかの人とは違うことを、わかりやすくアピールしてみてください。たとえば、「1964年 東京都生まれ」などの情報は、省いてもいいのでは? ただし、東京オリンピックに関する本を出版したいなら、この年に東京で生まれたという事実は、有効なアイキャッチとなります。

英語学習を例にとれば、自分がTOEIC満点をとっただけではなく、自分の勉強法で、ほかの人も満点をとったという事実があれば、それもアピールしてください。他人からの評価が高いこと、メソッドに再現性があることは、実用書の企画では大変重要です。

類書の著者のプロフィールも、ぜひチェックしてみてください。その人の魅力や専門性は、どんな言葉で書かれているのか。その中でも、もっとも引きが強いキーワードは何か。そのプロフィールは、本の内容にどのように活かされているのか。そして、どんな人がこの本を買って読むのか想像してみると、自分との違いが浮き出てきます。

主語を入れ替えても成立するプロフィールはアウト

その結果、TOIECの点数が足りなければ、もっと勉強して成績を上げる。同じ勉強法での成功者が少なければ、もっと生徒やセミナーを増やしてみるなど、理想のプロフィールに近づくための努力も必要になってくるかもしれません。あるいは、数値を上げるための努力ではなく、アピールの仕方や文章のテクニックに問題があることに気づくかもしれません。

ライティングのテクニックとして「主語をすげ替えても成立するような文章を書かない」というのがあります。たとえば、「まったりとした味わいの極上のウニ」という文章ですが、この場合、「ウニ」を「ワイン」に変えたとしても成立してしまうので、ウニの特徴を表現できたとは言えないわけです。同じように、主語をすげ変えても成立するようなプロフィールでは、自分の特徴がはっきり伝わりません。

もし、自分の特徴や強みがうまく言葉にできない時は、周囲の人に聞いてみるのもいいです。自分では思いつかない表現で語ってくれるかもしれませんし、これまで気づかなかった強みを言葉にしてくれることもあります。取材を受けるチャンスがあるなら、それも利用してください。インタビューに答えているうちに、「自分って、こんなことを考えていたんだ!」という新たな発見が、きっとありますよ。

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