トークライブ「魅せます!本づくりの舞台裏~意外に知らない『人文書』の世界」に行ってきました。

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四ツ谷のイグナチオ教会・ヨセフホールで開催されたイベント「魅せます!本づくりの舞台裏~意外に知らない『人文書』の世界」に行ってきました。

キリスト教関連書の著者、編集者が登壇

司会は「キリスト新聞」編集長の松谷信司さん。登壇ゲストは大嶋重徳さん(キリスト者学生会総主事)、片柳弘史さん(カトリック司祭)、小林望さん(新教出版社社長)、三辺直太さん(新潮社出版部新潮選書編集部)、喜田浩資さん(ジュンク堂書店池袋本店副店長)の5名。イグナチオ教会のある上智大学のあたりはたまに通るのですが、構内にあおぞら銀行ができていたのにはびっくりした!

ゲストの自己紹介の後、ジュンク堂池袋本店で売れているキリスト教関連書が発表され、次は〇×クイズ。「自分の仕事は正しく理解されているか?」との質問に、司祭(神父)の片柳さんは×の札を上げ、「『ヒマだから本が書けるんじゃない?』と言われます」との答え。

親の後を継ぐのではない限り、「宗教を仕事にする」とはどんなことなのか、ピンとこない人がほとんどでしょうから、そのため誤解も生じるのだと思います。ただ、出版プロデューサーとしての経験から言えるのは、「ヒマ」だから本を書こうという人には、これまで出会ったことはなく、みなさん、忙しい中何とか時間を作って執筆しています。

高価な本は信者向け、お手頃な本は一般向け

会場には『キリスト教は役に立つか』著者で司祭である来住英俊さんや、シスターである渡辺和子さんの著書を多数手掛けたPHP研究所の編集者も来ていました。

『キリスト教は役に立つか』でも、渡辺和子さんの本でもそうですが、編集者は信者以外の人にも本を手に取ってもらうため、構成やタイトルを考え抜き、気軽に買える価格を設定しています。高価な本は信者や研究者向け、手頃な本は一般読者向けと、棲み分けがされているのです。下の本は何と8100円!

世界最大のベストセラー「聖書」で鍛えられる企画力

キリスト教の布教のため、あらゆる角度から切り口や言葉の選び方を考え形にするという行為は、千年以上前から行われてきました。信者やキリスト教専門の出版社の編集者は、なにしろ世界最大のベストセラー「聖書」をベースに、「日本人に読んでもらおう」「若い人に読んでもらおう」と日々試行錯誤しているわけですから、企画力や構成力が鍛えられています。

さらに、キリスト教を深く知った人は、西洋の歴史や思想も深く知ることになるので、人文書の書き手としても才能を発揮します。その鍛えられた才能を、一般の人へわかりやすい形にして届けるのが、編集者の役割なのでしょう。もう、本じゃなくてカレンダーでも届け!と。

次世代を担うスターはひふみん?

いっぽう会場では、直球勝負で書いた『キリスト教は役に立つか』や、格差問題に正面から取り組んだ『21世紀の資本』についても議論が交わされ、読者が抱えている問題の本質にストレートに当たった本は、高価でも難解でも支持されるのではないかとの意見がありました。

新しいファンを獲得するための戦略と、昔からのコアなファンの期待に応える戦略、その両方が必要なのは、キリスト教に限らず、本に限らず、多くの企業や組織が抱える命題です。

そこで期待されているのが、「ひふみん」こと加藤一二三九段! 熱心な信者で将棋界のスターで愛されるキャラクター、しかもだんだん年齢が高くなる読書ファン(かなしい…)にも、同世代または人生の先輩として訴求できるまたとない逸材! ひふみんには、今後出版のオファーやキリスト教をPRするための仕事が殺到しそうです。

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