売れる児童書を書ける人の条件

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現在、児童書のお手伝いをしています。児童書の出版をコーディネートするのは初めてなのですが、ベストセラーを連発している編集者から興味深い話を聞くことができたので、考察とともに、ここにメモします。

売れている児童書の傾向とは

現在人気の児童書の傾向ですが、ひとつは「心の問題」「コミュニケーションの問題」を扱った本。読者である子ども自身にとっても、友だちと仲良くしたり、クラスで上手にコミュニケーションをとることは、学校生活を送る上で大事なことです。そして親にとっても、「うちの子、学校でうまくやっているかしら?」というのは気にかかることです。

もうひとつは、たくさんのお話やトピックが一冊にまとまった本。たとえば『頭のいい子を育てるおはなし366』や『しぜんとかがくのはっけん! 366』など、1日1話、読み聞かせをすれば読破できるようにつくられた本です。

読み聞かせをする親にとっても、1話が短いのでラクですし、聞く方の子どももラク。昔と違って今は、親だけではなく子どもも忙しいので、じっくり読書に取り組む時間がないという事情もあるのでしょう。さらに、一冊でいろいろな話が楽しめる本には、福袋的なお得感もあります。

児童書ならではの特徴とは

児童書は、著者名を見て買う人が少ないのも特徴です。監修は有名な教育者でも、ライターが黒子として執筆していることはよくあります。また、わかりやすく、親しみやすいつくりにするためイラストを多用するので、イラスト代にお金がかかり、著者への印税はその分少なくなる傾向があります。

しかしすぐれた本は、全国の学校や図書館で購入されたり、隠れたロングセラーとなって、かなり売れます。ヒット本は続編が出たり、シリーズ化されることも多いので、「シリーズ100万部突破!」というのも夢ではありません。

ただ、既に多数の本が刊行されているシリーズは、そろそろ終わりを迎えているかもしれません。コミックもそうですが、シリーズものは書店の棚をズラーッと占領するので、エキナカなどの狭い店で効率よく売りたい場合は、敬遠されることがあります。あまりにも長いシリーズをそろえておくのは、書店にとって負担となるのです。

児童書にチャレンジしてほしい人とは

少子化が進み、子どもの数も減ってはいるのですが、弱肉強食の時代だからこそ、子どもへの投資は惜しまない親が増えている実感があります。そして子どもに投資する親は、自身も教育を受けてきて、その恩恵も受けてきたので、子どもにも本を読んでもらい、知恵や教養をつけてほしいという気持ちがあります。

教育関係者のほか、宗教家、心理学者など心の問題を扱う人、または、科学者など専門的な知識を持つ人で、子どもにもその知識を伝えたい気持ちがある人は、児童書の企画を立ててみてはいかがですか? 子どもだけではなく、親や教師もターゲットにしながら、親子で読める本、図書館に置きたい本を想定しながら企画を立てると、ロングセラーが生まれるかもしれませんよ。

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