【読書】超一流の雑談力~雑談の道は厳しい!

ブログ

45万部を突破したベストセラー『超一流の雑談力』を読んでみました。

雑談は「人たらし」の技術

ところで、雑談と会話の違いは何でしょうか。私の解釈では、「雑談」は「会話」という大きなくくりの中にあるひとつのカテゴリーで、相手と打ち解けるために、天気や近況など当たり障りのない話題をやり取りするものです。対して「会話」は、必ずしも相手と打ち解けることを目的としておらず、場合によっては、ケンカのような激しいやり取りになることもあります。

しかしこの本では、雑談の目的を「短時間で自分をより魅力的に見せ、相手の懐に入っていくこと」としています。単にその場を和ませるための会話ではなく、仕事の成果を上げたり、チャンスをつかむため。もっと大きくいえば、人生全体によい影響を及ぼすための「人たらし」の技術として解説しています。

自分に欠けていて、必要なテクニックとは?

具体的なテクニックとしては、「軽い失敗談などで適度に自己開示して、相手の警戒心を解く」など、よく知られた方法もあるのですが、基本的には頭だけでわかったつもりになっても意味のない、勉強やトレーニングが必要なテクニックが多めに紹介されています。

たとえば、「ドレミの音階の、”ファ”か”ソ”の声で話す」「相手の興味をひく情報を提供できるよう、専門紙や雑誌を読んでおく」など。雑談の「雑」とは「いいかげん」の意味ではなく、ありとあらゆるもの、つまり幅広い知識や情報を指しています。ですから、「超一流」のレベルに達するには、たゆまぬ情報収集と、その成果をわかりやすく伝える言語力、さらに声のトーンや物腰まで訓練する必要があるのです。

情報発信力と同じくらい必要なのが、受信力。相手を見ながら質問のレベルを変えたり、相手のひそかな自慢を見抜いてそれを言葉にするなど、目の前の相手が発している情報を、言葉だけではなく、態度や服装からも受け取って、会話の糸口を拾っていく。いやー、難しい! 語り口はソフトで、サクサク読める構成の本ですが、実践するにはかなりの時間を「雑談」の準備に捧げる覚悟がいります。

なので、「自分はこれができていない」と自覚があって、「自分にはこれが必要だ」と思い、すぐに改善できるポイントがあれば、まずは意識してみることをおすすめします。私の場合は、「二度目に会ったときは、一度目に会ったとき話したことに必ず触れる」という項目です。つい、「ご無沙汰してます」「お元気ですか」など、ありがちなフレーズを口にしてしまうのですが、「ちゃんとあなたのことを覚えています」と印象づけるひとことを添えた方が、相手もうれしいでしょう。

「面白い人」=「笑われる人」ではない

著者の安田正さんですが、これまでの著書でも「会話力」「話し方」をタイトルに掲げた本を出版しています。その中でも、本書が売れた大きな理由のひとつは、「雑談」をテーマにしたことでしょう。仕事の話は立て板に水でも、ちょっとした会話が続かない人や、仲間内では「面白い人」で通っているのに、オフィシャルな場では借りてきた猫のようになってしまう人など、雑談が苦手なばかりに、ビジネスシーンでうだつが上がらない人は、結構いるのだと思います。

どんな相手とも雑談ができる人とは、話のタネになる情報収集を欠かさず、相手をよく観察している人。つまり勉強家、努力家です。本書でいちばん深く頷いたのは、『必要なのは「Funny(笑い)」ではなく、「Interesting(興味深い)」な話題』という見出し。お笑い芸人でも、脱いだり叫んだりして一瞬で消える人は多いのですが、知識を身につける努力を欠かさない人は長く活躍したり、ブームが終わっても復活していますよね。

タイトルとURLをコピーしました