10月4日(水)の新人・新刊・著者情報です。
著者の木村至信さんは、バンドのボーカリストとしても活動している耳鼻咽喉科の医師。
今回の著書では、 声を使い分けるための知識やトレーニング方法、さらに、恋愛や婚活で声を上手に活用する方法を紹介しています。
「声」がビジネスに与える影響
アナウンサーの魚住りえさんが書いた、『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』がベストセラーになって以来、声や話し方に注目した本の出版が続いています。
もともと、自分の声にコンプレックスを持つ人は多いのかもしれませんが、会議やプレゼン、スピーチ、交渉など、ビジネスの現場で声を使う場面が重要視されてきたことで、声の価値があらためて認識され、スキルを身につけたい人が増えたものと思われます。
問題の本質は「声」ではないかも?
ビジネスでも恋愛でも、声が重要視されるのは、「相手を説得する」「その気にさせる」ことを目的とした場面です。声さえ良くなれば、すべてうまくいくとは限りませんが、いきなり「思考や性格を変えよう」と提案するより、見た目や声などわかりやすい面からアプローチする方が、人はとっつきやすく、試してみたくなります。
声の本を手に取る人の中には、「人前で上がらないようにしたい」「普通に話しているつもりなのに怖いと言われる」など、声以外にも原因がある悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。しかし、その悩みの核心にある心の問題に直接対峙するには勇気が必要なので、核心から少し離れたところで、悩みを改善しようとするのです。
「やればできる」実感がほしい
死に至る病や、巨額の借金などで、絶体絶命の窮地に陥っている人は別ですが、「困ることはあっても何とかなっている」程度の悩みで、問題から逃げずに向き合い、根本から解決しようと努力する人はまれです。そこで、「服装を変える」「1日1分でOK」など、自分にもできそうなことから手をつけます。
一時期、思考や潜在意識を変えることで、人生がうまくいくという内容の本がブームになりましたが、「思考が変わる」「人生がよくなる」より、「見た目がよくなる」「声がよくなる」方が、効果がわかりやすい。「ベターッと開脚」の本が象徴的ですが、トレーニングの効果がわかりやすく見えたり、すぐに実感できる実用本は、「やればできる」という自信を後押しする、自己啓発書としての役割を果たしているのです。
【本日のまとめ】
- 「見た目」「声」などわかりやすい面から問題を解決しようとする人は多い
- 「困っている」程度の悩みで、問題の本質と向き合う人は少ない
- 努力の効果がすぐに、わかりやすい形で見えると、読者は自分を肯定できる